正倉院特集 国家珍宝帳と主な展示品紹介
 平成22年の正倉院展日程は、奈良国立博物館からの詳細発表までお待ち下さい。
昨年の第61回正倉院展は、平成21年10月24日〜11月12日の20日間開催されました。また昨年は、天皇陛下御即位二十年を記念して、正倉院宝物を代表する名品が出品されました。
北倉11件、中倉25件、南倉28件、聖語蔵3件の合計66件が出展されましたが、中でも聖武天皇遺愛の品々が選ばれ、また光明皇后の真跡と云われる「楽毅論」1巻、紫檀木画槽琵琶、平螺鈿背円鏡など、多くの拝観者を魅了しました。主な出品物について、なら奈良館では開催期間中館内のシアタールームで、スライドを使ってボランティアガイドによる解説をいたしました。次の一覧表から、画像と簡単な説明で見ることができます。また、PDFから印刷できますのでご利用下さい。 
正倉院展(21年)の主な展示品一覧表 
正倉院展(20年)の主な展示品一覧表 
 
 『光明皇后を偲ぶ国家珍宝帳』
 国家珍宝帳は、天平勝宝8歳(756)6月21日、聖武太上天皇の49日の法要の際、光明皇太后が太上天皇の冥福を祈って、天皇遺愛の品々650点余りを大仏に捧げられた。 この時の献納品の目録は、巻頭に「太上天皇のおんために、国家の珍宝等を捨てて東大寺にいるる願文、皇太后御製」と書かれた一句にちなんで『国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)』と呼ばれている。その巻頭と巻末には、光明皇太后の悲痛の一語に尽きる言葉が綴られている。
【巻頭】
  「…恒に千秋万歳までも合い歓(たのしみ)、相保わんとおもいしに、誰か期せんや、幽塗のはばむあり、閲水悲涼として霊寿増すなく、穀林揺らぎ落ちんとは…」
 (私はいつまでも歓びをともにしようと思っていましたのに、冥界がそれを阻み、河水を見てご逝去を悲しむことになろうとは、誰が予期したことでしょうか。 帝の霊寿は増すことなく、コウゾの林は釈迦涅槃の時のように色を変じ、葉を落としてしまいました。)
 「隙駟(げきし)はとどめがたく、七七たちまちに来る。くるしみうたた積もり、酷意(うらみ)いよいよ深し。后土(こうど)をひらくも徴なく、皇天に訴うるも弔(いた)らず。将にここに勝業流託(しょうぎょうるたく)して、もって聖霊を資(たす)けまつらんと欲す」
 
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 (戸の隙間を走りすぎる馬のように月日はとく過ぎ去り、七七忌はたちまちのうちにやってきました。苦しみの思いはますます積もって、悲しみはいよいよ深い。大地に打ち明け、蒼天に訴えても良しとしない。まさにここに先帝の功績に託して、聖霊をお助けしたいとおもいます。) 
【巻末】 
「右件のものは皆これ、先帝翫弄(がんろう)の珍、内司が供擬(くぎ)
せしもの、疇昔(ちょうせき)を追感し、目にふるごとに崩摧(くずおるば
かり)なり。謹んで以て盧舎那仏に奉献す。
 伏して願わくば、この善因を用って冥助に資し奉り、早く十聖に遊び、普(あまね)く 三途を済(わた)り、然る後に、鑾(すず)を花蔵の宮に鳴らし、蹕(ひつ)を涅槃の岸に住(とど)めたまわんことを」
 
 (以上の品々は、先帝の愛でた珍宝、あるいは内廷備え付けの品物で、 それらを目にするにつけ在りし日を思い出し、心も失せんばかりになり  ます。 従って、謹んでルシャナ仏に奉献いたします。 伏して願わくば、この喜捨の功徳によって、仏の助けに役立て、早く十王と交わって、地獄・餓鬼・畜生の三途をわたり、その後に、天子の馬車 は鈴を鳴らしてルシャナ仏の蓮華蔵世界の宮殿に入り、天子の車を涅槃の岸にとどめたまわんことを)
 
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 光明皇后は先帝への思いを繰り返して結んでおられ、その言葉には今なお読む人々の胸を打つ。